3月26日(木)、那覇市のよしもと沖縄花月にて「島ぜんぶでおーきなミーティング ~Big Meeting in Okinawa~」が開催され、13時からはパネルディスカッション【「沖縄」×「エンタテイメント」の最前線】が行わました。
慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科・教授の中村伊知哉さんをモデレーターとして迎え、6人のパネリストと共に、これからの沖縄におけるエンタテイメントの可能性や課題などが、様々な角度から論じられました。
パネリストとして沖縄県内からは、糸数剛一さん(株式会社リウボウホールディングス 代表取締役社長)と、安里繁信さん(一般財団法人 沖縄公共政策研究所 理事長)。そして県外からは、ウィリアム・アイアトンさん(ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社 相談役)、三澤一裕さん(Twitter Japan 株式会社 メディア事業部エンターテイメント&スポーツ チームマネージャー)、旦悠輔さん(株式会社GYAO 取締役 コンテンツビジネス 本部長)、根来秀行さん(ハーバード大学医学部客員教授、医師、医学博士)らが参加されました。
まずは、会場にもなっている、3月12日にオープンしたばかりの「HAPINAHA」を運営する糸数さんより、「観光がキーワードの沖縄に今最も必要なのは、エンタテイメント」という力強い挨拶で幕を開けました。
モデレーター・中村さんからの「日本の持っている良いコンテンツを世界に発信してゆくためには?」という問いかけに、皆さんが携わるお仕事などに絡めて独自の提案や考え方を述べられました。
沖縄には①アジアに近い地の利。②外から良いものを取り込むチャンプルー文化。③温暖な気候とのんびりした人柄による“居心地の良さ”という3つの強みがあると考える糸数さん。「エンタテイメントが既存の産業の+αになれば良い」と、エンタテイメントが沖縄にもたらすであろう広がりに大きな期待を寄せられていました。
『島ぜんぶでおーきな祭』実行副委員長でもある安里さんは、「国内外、特にアジアからの観光客は増えているが、まだまだ消費させる力が弱い。そのためにはプロダクトアウトこそ必要」と、沖縄経済界を代表する経営者の視点から“価値を作り上げていく大切さ”を訴えられました。
「日本はTwitter大国。映像投稿も可能となった今後は、シニアユーザーをも巻き込んでより強力に情報発信されて行くはず」と、三澤さんはTwitterの存在意義を語りつつ、昨年から添加しいている「Twitter Q&A」による双方向コミュニケーションの可能性について言及されました。
日本最大のポータルサイト『Yahoo!ジャパン』グループでもあるGYAOでは、プロフェッショナルな映像を配信しています。旦さんは、「今後は、Yahoo!全体、それまでテキストだった情報も映像化される方向に」と、映像の可能性を話されつつ「人間の経験に基づく丁寧な作業と、より細やかな技術の進歩といった接点で、沖縄の良さを発信できないか模索したい」と語られました。
“ローカルコンテンツの重要性”を解くアイアトンさん。「ケーブルのない人々に、いかにオンデマンドで届けられるか」を課題としながらも、ご自身もハーフであることに触れつつ、「チャンプルー文化の魅力、緩やかな雰囲気は、東南アジアに通ずるものがある」と、沖縄とアジアの“近さ”こそ強みであると沖縄への愛情たっぷりに語られました。
6人の中で異色の肩書を持つ根来さんは「沖縄は万人共通となる“健康”というキーワードが隠されている」と、断言。「“居心地の良さ”は、本土に較べて気圧が低いという科学的根拠がある」として会場一様に関心・納得するシーンも。かつての長寿県・沖縄が持つ“健康”、そして“笑い”にこそ可能性があると、医師ならではの説得力ある見解が印象的でした。
6人のパネリストによる、様々な角度からの含蓄ある提言に、中村さんは「沖縄が持つ良い面をさらにプロデュースすること。そのためには新しい技術を用いて価値を発信すること。そして外から優秀な人材を呼んできて、人を育てるのが重要」と総括し、内容の濃い1時間が終了しました。