3月27日(金)那覇市の桜坂劇場ホールBにて、桜坂映画大学アクション科『ドランクモンキー酔拳』の上映と舞台挨拶が行われ、特別講師として映画コメンテーターの有村昆さんを迎え、バッファロー吾郎、トータルテンボス、椿鬼奴が登壇しました。
“三度の飯よりジャッキーが好き”というトータルテンボスとバッファロー吾郎は、ジャッキー世代ど真ん中という事で、上映前からすでに興奮気味。椿鬼奴は「再放送とかで色々見」たけれど、どれが何モンキーだかわかんない」と、ジャッキー初心者として学ぶ気満々です。
『ドランクモンキー酔拳』は1978年製作のジャッキー・チェン主演のカンフー映画。ジャッキーの出世作と言われており、世界中のファンから愛されている作品で、記念すべき日本初公開作品。ジャッキー本人に会ったことがあるという有村さんから、「上映中にその時に聞いた話をちょっとお話ししますね」と嬉しい予告があった後、上映が始まりました。
上映が始まると、ブルース・リー二世として売り出されたジャッキーが全く売れず、起死回生を狙ったこの作品が転機になったことを有村さんが解説します。ジャッキー特有の髪型に「聖子ちゃんカット?ジャッキーは聖子ちゃん好き?」とトータルテンボス・大村智宏が茶化す中、「この人物を覚えておいてくださいね、後で重要人物となりますから」と有村さんが的確に解説してくれます。
「ジャッキー演じるウォン・フェイフォンは実在の人物で、すごく尊敬されている歴史上の人物」だとバッファロー吾郎・竹若元博が言うと、「それまではシリアスな描かれ方をしていたフェイフォンを、コメディタッチで描いた本作は革新的」と有村さん。「アクションのアイデアとかはジャッキー本人から?」との問いに、「ジャッキーは昔から貼ってはがせるメモ用紙を持ち歩き、アイデアが湧いたその場で書きとめデスクに貼っていく。そしてそのアイデアを使ったらメモをはがす」と、ジャッキー本人から教えてもらった裏話を有村さんが明かしました。
また、小道具を多用するカンフーアクションに「現在に通じるジャッキーアクションですね」と全員が感心します。劇中の小道具である椅子を見た鬼奴が、「この椅子、愛知県に売っていました。それをジャッキーファンの次長課長の井上さんが買っていました」と暴露すると、会場から笑いが起こります。
映画の見どころである修行シーンになると、「これすごいな!ほんとにやってるんだから!」「ジャッキー、キレッキレやな!」と、バッファロー吾郎やトータルテンボスらが感嘆の声を上げます。劇中で腹筋を鍛えるシーンでは、有村さんがジャッキーから聞いた話しとして、「ジャッキーは体を鍛えることが本当に好きだと。その中でも腹筋トレーニングが一番好きだそうだから、このシーンとかは本当に好きでやっているかも」と明かしました。さらに、終盤にかけての怒涛の対決シーンになると全員が息を飲み、観客と共にジャッキーの動きに魅せられていました。
上映後も、舞台に上がった登壇者たちの興奮は冷めません。「劇場で見ると面白い!家で見てると効果音や音楽とかもこんなによく感じられなかったかも」と鬼奴。「ブルース・リー二世として世に出たものの売れず、自分なりの方向性を模索した結果“カンフーとコメディの融合”という路線を本作で見出した」と有村さん。続けて、ブルース・リーと比較して、ジャッキーは“手数(てかず)”が多いと分析します。さらに、「エンターテインメントは極めると二極化するのではないか、そぎ落とすタイプと付け足していくタイプ。ジャッキーは後者」と分析をまとめました。「最近はカット割りが多くて動きが分かりづらいものも多いが、ジャッキー作品は長回しだから動きが良くわかる」とバッファロー吾郎A。「この作品は今見ても、まったく色褪せない、すごい作品!」と登壇者が口々に言うと、会場からは拍手が沸き起こり、盛況のうちに講座が終了しました。