3月26日(木)那覇市の桜坂劇場、ホールAにて桜坂映画大学・ドキュメンタリー科「劇場版 テレクラキャノンボール2013」の特別上映が行われ、講師として、同作品の監督を務めたカンパニー松尾さんをはじめ、ドキュメンタリー監督の松江哲明さん、バッファロー吾郎、ケンドーコバヤシ、シソンヌが登壇しました。
同作品は、10時間のアダルトビデオ作品を劇場用の2時間に編集し劇場公開した異色の作品。6人のAV監督が、東京から札幌までの道中を現地の素人女性をハメ倒しながら旅を進める、というR-18指定の大人向けストーリーです。
会場には男性だけだと思いきや、若い女性の姿も多く見られ、上映前から異様な熱気に包まれます。その熱気の中、はじめにカンパニー松尾監督が、「みなさん、これ映画じゃなくてAVですから!」と言うと、会場からドッと笑いが起きました。
松江哲明監督が、「昨年見た550本の映画のうち、この作品が一番です!」と言い切りながらも、すかさず「気持ち悪くなったらすぐ逃げてくださいね」とひと言。監督の意味深な注意にも笑いが絶えない中、上映がスタートしました。
上映中に登壇者がコメントしながら進む、オーディオコメンタリー形式で進みます。上映中は、強烈な作品内容に講師のコメントが乗っかり、会場は爆笑に次ぐ爆笑の嵐。時には悲鳴がギャーギャー上がるなど、会場のテンションがマックスに上がっていきました。
上映終了後会場が明るくなっても、会場の熱気は収まりません。「いやぁ~、やっぱりすごかったなぁ~!」と登壇者たちが口々に話すと、「この作品は映画を撮っているつもりなんかなく、AVのつもりで撮った」というカンパニー松尾監督。劇場版公開にあたり、内容が内容だけに絶対ヒットなんかしないと思い、宣伝は全くせずチラシとツイッターのみでの周知だったとのこと。映画を楽しむためにネタバレ厳禁としたところ、観客がきちんと守ってくれたそうで、「感動した!とか劇場でこんな笑ったことない!とかのクチコミの評判が大きくなって、みーんなが誤解して劇場に来てくれたんですよ」という正直な監督の言葉にまたも爆笑に包まれます。「ネタバレ禁止がこんなに守られる映画も珍しい」と感心する監督を横目に、製作者と観客がいい共犯関係になる作品ではないか、と大きくうなずく登壇者たち。「こんな内容を大画面の劇場で観るなんて今後絶対にない!」「まさしく金字塔です!」と芸人たちの熱弁が続きます。後半にかけて神がかり的な展開を見せることについて、あれは撮影している中で出たアイデアなどではなく、ある出演者2人のカラミが見たくてちょっとだけ感情に訴えて撮影を進めてみた、と撮影秘話もポロリ。また、熱望される作品の続編について問われた監督は、「うーん、これがねぇ、この作品が出来すぎちゃって。これを超えるものはもう撮れないと思うから、やらないと決めました」と潔い珍解答が飛び出します。すると「これ続けたらそのうち誰か死にますよ!」と松江監督がたたみかけると、そうだそうだ!と同調する登壇者。終始、監督と登壇者、さらに観客が一体となり、まさしく“共犯者”となったような講義が大盛況のうちに終了しました。