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2015.3.29

薬師丸ひろ子さんが、デビュー作『野性の証明』と高倉健さんへの思いを語る。さらにあの名曲をアカペラで披露!
3月29日(日)、那覇市の桜坂劇場ホールAにて桜坂映画大学『野性の証明』が上映され、生オーディオコメンタリーにブラックマヨネーズの小杉竜一、バッファロー吾郎A、サバンナの八木真澄、映画パーソナリティのコトブキツカサさんが登場し、お客さまとともに作品を鑑賞しました。

この作品は1978年に公開された薬師丸ひろ子さんのデビュー作。特殊工作部隊員を演じる高倉健さんとの親子役や、広大なスケールの撮影が話題となった大作です。上映後に薬師丸さんの舞台挨拶を控えていることもあり、最初から一同興奮気味でしたが、コトブキツカサさんの詳しい解説を交えた上映と、今も色褪せない名作に会場は終始釘づけになっていました。

上映後、いよいよ待ちに待った薬師丸さんが登壇すると、芸人たちは「映画観たすぐ後に会えるなんて贅沢すぎる!」「泣きそうになる、頼子(劇中の薬師丸さんの役名)生きててよかった!」と大興奮! 会場も大きな歓声と拍手で薬師丸さんを迎えました。

昨年急逝され、作品の中で共演されている高倉健さんとの出会いについて聞かれた薬師丸さんは、「初めて会ったのは映画の製作発表のときでした。まだ13歳の私に対してしっかり手を握り、よろしくお願いしますと挨拶をしてくれました。それにはこれから一緒に仕事をする仲間として“頑張りなさいよ”の意味があったと思います」と振り返りました。

また「撮影現場に近所の男の子が見に来ているのを見て、私がその男の子に手を振ったりした訳でもないのに、『チャラチャラするなよ』と言われました」と撮影中の高倉さんとのエピソードを披露。他にも、食事は魚を食べず肉が好きだったということや、撮影でかなり学校を休んでいたという薬師丸さんに、大学進学するときには本気で心配してくれたことなど、貴重なエピソードを明かし「健さんは、撮影中だけでなく24時間私を支えてくださって、地方でも食事にも連れて行ってくれて、本当に大事にしてくれました」と当時の思い出を懐かしそうに話していました。

高倉さんの人柄について聞かれた薬師丸さんは、「健さんは大スターでみんなの憧れです、俳優だけでなくスタッフや作品に携わっているすべての人が、健さんを誇りに思うような数少ない俳優の一人」と答えました。続けて「それなのに、『あの人かっこいいな』とか『あの映画のこんなシーンがすごいんだよ、憧れるなあ』とか、よく“憧れる”という話をしていました」と、高倉さんの素敵な一面を教えてくれました。

高倉さんへの思いが強い薬師丸さんは「こんなに好かれて慕われる偉大なスターがさらに憧れの人を持つところが、健さんの素敵なところで『憧れてキラキラしていてかっこいいものにはなるべく近づかないで、遠くから見守るんだよ』と言っていた姿がますます素敵でした」と魅力と人柄について語ると、会場中からため息が漏れていました。

薬師丸さんが沖縄国際映画祭に登場するのは今回が3回目。映画祭への思いを伺うと「『野性の証明』がなければ今も映画の仕事を続けることができませんでした。高倉健さんという偉大で素晴らしい俳優さんが、映像に残っている姿をもう一度皆さんに観て頂けるということが本当に素敵だなと思って」と、今回参加した理由を話してくれました。

「健さんに、どんな恩返しが出来るかわからないけど、こうやって35年以上前の作品をみんなで観ていることを、健さんは本当に喜んでくれていると思います」と、薬師丸さんは嬉しそうに語り、観客のみなさまに感謝していました。そして「この歌をもってみなさんへのお礼とさせて頂きたいです」と名曲“セーラー服と機関銃”をアカペラで披露。響き渡る美しい歌声に、高倉さんへの思い、作品への思い、映画祭への思いが詰まっていることが観客すべてに伝わったのではないでしょうか。客席には涙を拭う姿が見られ、「また沖縄に来てください!」「待っています!」の声と拍手が鳴りやまない中、感動に包まれた舞台挨拶は幕を下ろしました。