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2015.3.29

地元愛と街の魅力が詰まった地域発信型映画 『父ありき、母のにおい』『ISHICHI』
3月29日(日)那覇市の桜坂劇場ホールCにて『父ありき、母のにおい』『ISHICHI』2作品の上映と舞台挨拶が行われました。『父ありき―』からは佐久間一行、三坂知絵子さん、戸田彬弘監督、『ISHICHI』からは、桂小枝、上野遼平監督が登壇。撮影の舞台となった茨城県つくば市、和歌山県海南市からもそれぞれ応援団が駆けつけ、会場は超満員となりました。

同2作品は、地域住民とよしもと芸人や俳優が共同で地域の情報を映画にして発信していく、地域発信型プロジェクトの一環として作られたものです。

『父ありき、母のにおい』は、つくば市で小さな食堂を営む男性が、ある日突然別れた女性に男の子を預けられ、その子を息子として受け入れていくさまを描いたヒューマンストーリー。周囲の人々に支えられながらも少しずつ親子になっていく様子は、観る者の心を温かくする感動のショートムービーです。

『ISHICHI』は、日本三大漆器産地のひとつ海南市黒江が舞台となった作品。300年前から代々職人に受け継がれてきたお椀の秘密を巡って、街全体がひと騒動へと発展するファンタジックストーリーです。

今回『ISHICHI』でメガホンを取った上野遼平監督は、2月に高校を卒業したばかりの18歳。舞台挨拶では、市長役で出演した桂小枝が「2人で食事に行った時に飲みながら、あ、彼はお茶飲んでましたけどね。18歳の彼に、将来大物監督になったら俺のこと使ってくれよ!ってお願いしたんです。でも後から考えたら、なんで僕が18歳の子にヨイショせなあかんのや!18歳の子にヨイショしたことなんかない!」と興奮気味に語りながらも、「でも、日本色豊かな作品なので、海外の方にも受けているそうですよ、カンヌ狙えるかもよ!」と、監督へ絶大な期待を寄せている様子でした。

上野監督は映画の見どころについて「海南市は日本の漆器生産の7割を占めているところで、その中でも、伝統を守るのか新しい技術を取り入れるのか、の葛藤で辞めていく人もいる、その背景を描きたかったんです。」と初々しい姿ながらも貫禄のコメント。すると、桂小枝から「でもこの子は女の子(NMB48の西村愛華さん)のお尻のアップが撮りたくてこの映画撮ったんです!」と爆弾発言が飛び出します。それには上野監督も「いやあ、アイドルのギリギリの部分を狙いたくて」と、意外な撮影エピソードに会場は笑いに包まれました。


次に『父ありき、母のにおい』の舞台挨拶が行われ、戸田彬弘監督は「朝早くからたくさんの人が集まってくれて嬉しいです。誰も来てくれないかと思っていたので…」と、不安だった心境を笑いに変えると、「つくば市は、人柄や街並みがとても穏やかで温かくて、そんな様子がうかがえるような居心地の良い作品を作りたかったんです」と撮影のきっかけを語りました。また、同作品へ出演した佐久間一行は、「つくば市は自然もたくさんあり、とにかく人が温かいです。映画撮影にも快く協力してくれて、人柄の温かさ穏やかさが映画に表れていたと思います」と、つくば市の魅力をアピール。会場からは盛大な拍手が送られ、応援団として駆けつけた、つくば市の副市長も感慨深げな様子でした。

戸田監督は「時代が変わって映画の形も変わってきています。でも映画館で人と一緒に楽しみながら観るというのが映画の良いところで大切な部分だと思います。映画館が減っているのがいまの現状ですが、もっと映画を愛してくれる人が増えることを願いながらこれからも頑張っていきたいと思います」と語ると会場からは大きな拍手と温かい声援が送られ、穏やかな雰囲気の中、舞台挨拶は幕を閉じました。